
株式会社グルメ杵屋 グローバル人材部
部長 大西 憲臣 様
特定技能制度開始直後から“即決”のスピード採用
弊社では2019年、特定技能制度がスタートすると同時に、外国人材の採用に動き出しました。外食業界における人手不足は深刻で、「待っていても人は来ない」という強い危機感があったからです。早期の取り組みは功を奏し、特定技能外国人は、今も現場にとって大きな戦力となっています。
実際に採用してみると、特定技能の方々は日本語での会話もスムーズで、仕事を覚えるのも早い。日本人と遜色ない活躍を見せてくれました。「GK日本語学校」に通いながら弊社でアルバイトをし、そのまま就職してくれた方もいらっしゃいます。
こうした成功体験を背景に、面接を継続的に実施してきました。そして、2025年4月時点で特定技能外国人の内定者は180名を超えています。国籍はミャンマー、ベトナム、ネパール、インドネシア、スリランカなど多国籍な採用となっています。
2022年10月、本社ビルに「GK日本語学校」を設立
外食業界では、日本人アルバイトの確保が本当に困難な状況が続いています。少子高齢化に加え、若年層の外食業界離れが進み、求人広告を出しても反応が鈍く、面接にすらつながらない。時給を1500円に上げても応募がありません。コロナ禍以降、一度離れた人材が戻らず、採用難は慢性化しています。リモートワークの普及など働き方の変化もあり、「飲食は大変」というイメージが若者に定着しているのでしょう。もはや“募集すれば人が集まる”時代ではありません。それならば、「待つ」のではなく「育てる」のだと考えました。
2022年10月、本社ビルの4階に「GK日本語学校」を設立。インドネシアやネパールから迎えた第1期生13名の入学からスタートし、2025年3月時点では約100名が在籍。来年度には150名、将来的には更に多くの受け入れを目指しています。
教育目標は、日本語力の向上だけでなく、生活面・精神面も含めた“全人教育”。世界で活躍できる、自立し、信頼される人材の育成を目指しています。GK日本語学校の生徒の多くは進学を目指しており、必ずしもグルメ杵屋への就職を前提としているわけではありませんが、未来を担う若者たちを支えたいと考えています。
多様性が現場を元気に 文化の違いがチームを強くする
留学生たちは週28時間の上限内で働き、生活費や学費を自力でまかなっています。来日前に借金してでも日本に来る学生も多く、その分、働き方には責任感と覚悟がにじみ出ています。現場では「やります、やります」と積極的に動き、忙しいときも嫌な顔ひとつせず、笑顔で業務にあたる姿が印象的です。留学生の存在がチームに良い影響を与えているのでしょう。むしろ若い日本人スタッフの方が気を遣う場面もあります。文化の違いが多様性を生み、補い合いながらチームワークが強くなる。離職率も低く、安定した戦力として現場で活躍してくれています。
特定技能外国人の採用こそが命運を握る
少子高齢化が進む日本において、外食産業が持続的に成長していくためには、国籍に関係なく、意欲ある人材を積極的に受け入れ、育てていくことが不可欠です。弊社でも、特定技能人材の採用は今後も拡大していきます。
外国人材の受け入れには専門的な知識や制度理解が求められますが、それ以上に大きな可能性があると私たちは実感しています。弊社では、登録支援機関として就業サポートにも取り組み、制度の理解や受け入れ体制の整備を一つひとつ積み重ねてきました。今後は進学後のキャリア支援にも力を入れていく予定です。
目指すのは、「日本人も外国人も、互いを尊重しながら成長できる組織」。これからも人を育てる文化を大切にし、外国人材とともに私たち自身も進化し続けてまいります。「特定技能外国人の採用こそが、外食産業の未来を左右する」。私たちの決断は、間違っていないと確信しています。