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2025.08.18
雇用関連
労務関連
2025.08.18

はじめての外国人スタッフ受け入れガイド|店舗・中小企業が知っておくべき実務と制度

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目次

  1. 外国人労働者の受け入れを始める前に知っておくべきこと
    • 外国人雇用が注目される背景と人手不足の実情
    • 外国人労働者の受け入れに向く業種・店舗の特徴
    • 採用前に押さえるべき制度の基本と法的リスク対策
  2. 特定技能制度の仕組みと、在留資格の正しい理解
    • 特定技能とは?技能実習・永住権との違いを整理
    • 特定技能で外国人が働ける業種と条件
    • 受け入れ企業が果たすべき責任と支援体制とは
  3. 雇用契約・文化対応など実務で失敗しない体制づくり
    • 外国人スタッフとの雇用契約・条件通知の作成ポイント
    • 文化や宗教への配慮とルール周知のコツ
    • 初出勤から定着までの受け入れ体制の作り方
  4. 採用活動の進め方と外国人材の見極めポイント
    • 面接で見抜くスキル・日本語力のチェック方法
    • 在留資格申請と支援計画の実務フロー
    • 採用ミスマッチを防ぐための面接・選考の工夫
  5. 採用コスト・助成金制度と登録支援機関の活用法
    • 外国人労働者の受け入れにかかる費用と相場感
    • 特定技能外国人の採用に使える助成金制度とは?
    • 登録支援機関や社労士との連携で事務負担を軽減
 

外国人労働者の受け入れを始める前に知っておくべきこと

近年、国内で働く人材の確保が難しくなるなか、海外からの働き手に対する関心が高まっています。高齢化と人口減少により、特にサービス業や地域の中小企業では、求人を出しても人が集まらないという声が増えており、現場を支える存在として外国人労働者が注目されています。ただ、単に人手不足を補うという視点ではなく、彼らとどう共に働いていくかを考えることが、受け入れる側には求められています。
 
受け入れにあたっては、働くための在留資格や制度の知識はもちろん、文化や生活習慣の違いを前提としたサポート体制の整備が欠かせません。住まいや生活環境の配慮、職場での教育体制、コミュニケーションの工夫といった点が、定着率を左右します。制度や書類だけでなく、「共に働く仲間」として迎え入れる意識が何よりも重要です
 

外国人雇用が注目される背景と人手不足の実情

日本国内では働き手の数が年々減少し、特に地方や現場作業を伴う業界では人材確保が深刻な課題となっています。飲食、介護、小売といった日常生活を支える業種では、日本人だけでは回らない現場も珍しくありません。こうした状況の中で、海外からの人材は即戦力として期待され、実際に多くの企業で導入が進んでいます。
 
採用に積極的な企業は、文化や言語の違いを乗り越え、共に働ける仕組みを少しずつ整えてきました。一方で、在留資格や法的な手続きに対する理解が浅いと、知らぬ間に違法な状態になってしまうこともあります。注目度が上がる今だからこそ、制度を正しく理解したうえで、働きやすく安心できる環境を整えることが、長期的な雇用につながります。
 

外国人労働者の受け入れに向く業種・店舗の特徴

海外からの働き手が安心して活躍できる職場には、いくつかの共通点があります。まず、業務内容がある程度標準化・マニュアル化されており、研修や指導の体制が整っている店舗は、初めて日本で働く人にとっても不安が少ない傾向があります。たとえば、飲食チェーンやホテルのようなサービス業では、言語が通じなくても習得しやすい環境が整っているケースが多く見られます。
 
さらに、スタッフ同士のコミュニケーションが活発で、異文化への理解がある現場では、働きやすさだけでなく人間関係の安心感も得られます。一方、業務が属人的でマニュアルがない、または「見て覚えろ」といった体質の店舗では、ミスやトラブルが起きやすく、早期離職の原因にもなります。誰が来ても理解しやすい仕組みがあることが、受け入れ成功のカギです。
 

採用前に押さえるべき制度の基本と法的リスク対策

海外の人材を雇う際に最も注意が必要なのが、在留資格と労働に関する法制度です。たとえば、「留学生」の在留資格で働ける時間には制限があり、それを超えると不法就労と判断される可能性があります。また、「特定技能」や「技能実習」のように、フルタイムでの勤務が認められている資格でも、業種や仕事内容に明確な条件があるため、事前確認が必須です。
 
法的なトラブルを避けるには、労働条件通知書や雇用契約書をしっかり準備し、必要であれば母国語での説明も取り入れる必要があります。行政書士や社労士と連携しながら、登録支援機関のサポートを活用することも、ミスを防ぐ効果的な方法です。法を守りながら、働きやすく安心できる環境をつくることが、外国人材との信頼関係を築く第一歩となります。
 
 

特定技能制度の仕組みと、在留資格の正しい理解

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海外からの働き手を本格的に雇用するための制度のひとつに、比較的新しい在留資格である「特定技能」があります。この制度は、即戦力となる人材を受け入れることを目的に整備され、2019年にスタートしました。背景には、深刻化する人手不足と、単純労働分野でも経験を積んだ外国人が活躍できる環境を整える必要性がありました。
 
ただし、この制度を活用するには、受け入れ側が「制度の正しい理解」を持つことが前提です。たとえば、どの業種が対象なのか、どのような試験や日本語力が求められるのか、在留期間の上限はどうかなど、基本的な情報を誤解したまま雇用を始めると、のちに違法状態になってしまうリスクもあります。自社に制度が合っているかを見極め、専門機関と連携しながらの導入が重要です。
 

特定技能とは?技能実習・永住権との違いを整理

現場で混同されがちな「特定技能」「技能実習」「永住権」ですが、それぞれの仕組みや目的は大きく異なります。特定技能はあくまで「即戦力としての就労」を前提とし、合格した技能試験と日本語試験により、働く能力が証明された人材が対象です。一方、技能実習は「技能の習得」を目的とした制度で、教育的な意味合いが強く、職場の即戦力としては扱いにくいケースもあります。
 
また、永住権は長期間日本で暮らしてきた人が対象であり、取得には年数や安定した収入などの厳しい条件が必要です。つまり、短期的な戦力確保を目的とする場合、特定技能が最も現実的な選択肢となります。これらの制度の違いを正しく理解することで、目的に合った外国人材の採用が可能となり、結果として企業にとっても働く側にとっても負担の少ない関係が築けます。
 

特定技能で外国人が働ける業種と条件

この制度を利用できるのは、国内で特に人手不足が深刻とされている分野に限られます。現在、ビルクリーニング、介護、建設、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、造船・舶用工業、飲食料品製造業、外食業、工業製品製造業、木材産業、林業、自動車運送業、鉄道業
といった16分野が対象となっており、それぞれの業界で専門的な知識や技能が求められます。また、働く本人は日本語能力に加え、業種ごとの技能試験に合格している必要があります。
 
条件としては、雇用される企業が「適切な職場環境」を整えているかも審査の対象となります。例えば、労働時間や賃金が日本人と同等であること、社会保険に加入させていること、違法な長時間労働がないことなどが確認されます。また、在留期間は〈1年/6か月/4か月〉単位で更新しつつ通算5年が上限で、更新には一定の条件を満たす必要があります。制度を活用するには、業種に合った要件を満たし、継続的に支援できる体制が企業側に求められます。
 

受け入れ企業が果たすべき責任と支援体制とは

この制度の大きな特徴は、企業側にも具体的な「支援義務」が課されている点です。たとえば、入国時の空港への出迎えや住居の確保、日本語学習の機会提供、生活相談窓口の設置など、日常生活に関わるサポートを含めた体制づくりが求められます。これらの支援を怠ると、在留資格の更新が認められない場合もあるため、形式的な対応では済みません。
 
さらに、こうした支援は企業が直接行うか、登録支援機関に委託することが可能です。特定技能の制度を使ううえで、企業が果たすべき役割は「雇うこと」だけにとどまらず、「定着して活躍してもらうための環境整備」まで含まれます。そのため、採用前から社内体制の見直しや研修の準備、社内ルールの明文化など、事前の準備が制度活用の成功を左右します。
 
 

雇用契約・文化対応など実務で失敗しない体制づくり

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海外からの働き手を迎える際には、法令を遵守するだけでなく、日々の業務に直結する細かな配慮が必要です。たとえば、雇用契約や労働条件の通知、職場ルールの説明、文化的な違いに関する理解促進など、準備を怠ると入社後すぐにトラブルにつながるケースも少なくありません。制度だけを整備しても、現場の受け入れ意識が伴わなければ意味を成さないのです。
 
そこで重要なのが、「初期対応から定着までの流れを可視化」し、社内の体制として組み込むことです。書類の整備、研修の実施、相談窓口の設置などをルール化しておくと、誰が担当しても一定の対応が取れるようになります。異なる価値観を持つ人材と働くには、柔軟性と一貫性のバランスが鍵となります。現場の声を拾いながら、持続的に運用できる仕組みづくりが求められます。
 

外国人スタッフとの雇用契約・条件通知の作成ポイント

契約書や条件通知書は、働く側にとって最初に手にする「企業からの約束」と言えます。とくに海外から来た人にとっては、日本語の契約内容を十分に理解できずにサインしてしまうケースがあり、後のトラブルの原因になることもあります。そうした事態を防ぐためにも、契約内容は明文化し、可能であれば母国語訳の書面も用意するのが望ましい対応です。
 
また、労働時間、休憩、残業、休日、給与の支払い日など、基本的な情報を明確に書くだけでなく、交通費や住宅手当の有無、昇給や契約更新の条件といった「曖昧になりやすい部分」も細かく記載することが求められます。契約内容は対等な関係性を築くうえでの第一歩であり、信頼形成にも直結します。形式的な契約ではなく、本人が内容を理解し納得したうえで結ぶことが重要です。
 

文化や宗教への配慮とルール周知のコツ

海外から来た人材と共に働くうえで、文化や宗教に対する配慮は避けて通れません。たとえば、食事や服装、祝祭日の考え方が日本と異なることもあり、何気ない日常の中で戸惑いや不安を感じている場合もあります。そのような違いに対して、特別な優遇をする必要はありませんが、誤解や摩擦を避けるための「お互いを知る場づくり」はとても有効です。
 
社内ルールの共有に関しても、日本人スタッフと同様の説明では伝わりにくいことがあります。そこで、マニュアルをイラスト入りにしたり、実際の現場でロールプレイ形式の研修を行うことで、理解度を高める工夫が効果的です。また、「してはいけないこと」だけでなく、「なぜそうなのか」を丁寧に伝えることで、納得感のあるルール運用につながります。多様な価値観を受け入れることは、企業文化の成長にも直結します。
 

初出勤から定着までの受け入れ体制の作り方

実際に働き始めてからの数週間は、海外から来たスタッフにとって大きなストレスを感じやすい時期です。業務に慣れないうえに、言葉や生活環境の違いにも直面するため、初期段階でのフォロー体制がその後の定着率に大きく影響します。そこで重要なのが、単なる業務研修だけでなく、生活面のサポートや職場での「相談しやすさ」を感じさせる雰囲気づくりです。
 
具体的には、出勤初日から同行サポートをつける、困ったときに相談できる担当者を明確にする、業務マニュアルや備品の説明を丁寧に行うなど、細かな配慮が効果を発揮します。また、初月の振り返り面談や同世代スタッフとの交流機会を設けることで、不安の芽を早期に摘み取ることができます。「ようこそ」という姿勢を実感してもらえる職場こそが、外国籍の人材が安心して定着できる環境なのです。
 
 

採用活動の進め方と外国人材の見極めポイント

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海外からの人材を雇うにあたっては、日本人の採用と比べて慎重な判断が求められます。なぜなら、語学力や生活環境の違いに加えて、制度上の条件やビザの可否といった外部要因も採用可否に影響するからです。採用活動では、応募時点での書類確認、スキルの棚卸し、本人の志望動機や長期的な意欲の確認といった多面的な視点が欠かせません。
 
また、面接官側が制度や文化的背景への理解を持っていないと、適切な評価ができないばかりか、求職者に不信感を与える恐れもあります。採用の場面では、単なるスキルチェックに終始せず、「この人が現場で働いたとき、社内でどんな支援が必要か」を見通す力が求められます。書類・面談・試用期間の設計まで一貫したプロセスを整えることが、失敗しない採用の第一歩です。
 

面接で見抜くスキル・日本語力のチェック方法

面接においては、実際の業務で必要とされるスキルをどう見極めるかが重要な課題です。とくに、現場での即戦力を求める場合には、履歴書や資格証明だけでは判断が難しいことが多く、簡単な実技やシミュレーション形式の課題を用意することで、理解力や作業スピードを確認するのが有効です。
 
日本語力に関しては、一般的な会話ができるかだけでなく、マニュアルや安全指示を理解できるかという「実務に直結する能力」に注目する必要があります。N3レベル以上が求められることも多いですが、業種によっては指示語や業務用語の理解が最低限でも通用するケースもあります。面接の場で、実際の職務で使う言葉を交えた会話を行うことで、より現実的な適応力を見極めることができます。
 

在留資格申請と支援計画の実務フロー

採用が内定した後は、速やかに在留資格の手続きを進める必要があります。対象となる資格によって必要書類や審査項目が異なり、たとえば特定技能であれば、技能試験・日本語試験の合格証や雇用契約書の写しなどが求められます。さらに、受け入れ企業は「支援計画書」の作成が義務付けられており、これは本人の生活支援や相談体制などを具体的に記載したものです。
 
この手続きを企業だけで完結させるのが難しい場合は、登録支援機関との連携が推奨されます。申請内容に不備があると審査に時間がかかるほか、不許可となるリスクもあるため、書類準備は慎重に進めなければなりません。制度の流れを正しく把握し、採用から在留資格の取得までのスケジュールを逆算して進めることが、スムーズな入社に直結します。
 

採用ミスマッチを防ぐための面接・選考の工夫

外国籍の人材を採用する際、履歴書や資格だけで判断するのは不十分です。現場にフィットするかどうかは、実際に話してみて初めて見える要素が多いため、面接では「人柄」や「価値観の共有度」にも目を向ける必要があります。また、面接を一方的に進めるのではなく、仕事内容や職場環境を丁寧に説明し、相手が納得できるかどうかを確認する姿勢も大切です。
 
具体的な工夫としては、現場見学や職場体験の導入、過去のトラブル事例をもとにしたロールプレイなどが挙げられます。さらに、日本語に不安がある候補者の場合は、面接に通訳を交えることで、本人の本音をより正確に引き出すことができます。最初の接点での丁寧な対応と双方向のコミュニケーションが、ミスマッチを防ぐ最大の手段です。
 
 

採用コスト・助成金制度と登録支援機関の活用法

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海外人材を職場に迎える際は、採用コストに関する見通しを持つことが欠かせません。採用広告費、面接や渡航サポート、在留資格取得のための書類準備など、初期段階でまとまった費用が発生します。また、入社後には生活支援や日本語研修などの費用も想定されるため、単純な人件費だけで判断すると実態とズレが生じます。
 
その一方で、こうしたコストを抑える手段として、各種の補助金や専門機関の活用が注目されています。特に、中小企業が単独で外国籍人材を受け入れるのはハードルが高いため、行政と連携しながら制度の枠内で効率的に進めていくことが現実的な対応となります。助成金の利用や登録支援機関との分担体制を整えることで、コストと手間を最小限に抑えることが可能です。
 

外国人労働者の受け入れにかかる費用と相場感

海外からの人材を迎える場合、企業は採用に伴う諸経費を予算として確保する必要があります。たとえば、採用エージェントへの紹介料は1人あたり30万〜60万円程度が相場とされており、渡航費や初期生活支援、住居手配などの諸費用を含めると、1人の採用あたりトータルで50万円以上かかることも珍しくありません。
 
また、雇用後の研修費や日本語教育費、業務指導の体制整備など、目に見えにくい部分の支出も無視できません。このため、単に人件費の安さを理由に採用を検討するのではなく、長期的に活躍してもらう投資ととらえる必要があります。こうした相場感を踏まえたうえで、必要な支援体制や補助制度を適切に組み込むことが、持続可能な受け入れの鍵を握ります。
 

特定技能外国人の採用に使える助成金制度とは?

海外からの人材を「特定技能」で受け入れる企業には、国や自治体が用意する補助金制度を活用できる可能性があります。たとえば、職場定着支援や日本語教育に関連する助成、または業務に必要な講習費用を一部負担してくれる制度などがあり、地域や業種によって対象内容が異なる点も特徴です。
 
これらの制度は、事前の申請や実施報告が必要になる場合が多く、内容を正しく把握したうえでスケジュールを立てることが大切です。とくに中小企業にとっては、こうした公的支援の有無が導入の成否に直結することもあります。制度情報は各自治体や商工会議所などの公的窓口で随時更新されており、定期的な確認と相談を通じて、最も適した助成を見極めることが推奨されます。
 

登録支援機関や社労士との連携で事務負担を軽減

特定技能での受け入れでは、受け入れ側の企業に対して多くの義務が課されます。たとえば、生活支援計画の作成、日本語学習の補助、相談窓口の設置、定期的な報告などが挙げられます。こうした対応をすべて社内で完結させようとすると、特に人手が限られている企業では大きな負担となります。
 
このような場合に有効なのが、登録支援機関や社労士との連携です。支援機関は、法的に認められた外部パートナーとして、生活支援の多くを代行してくれる存在であり、専門知識を持った社労士と連携すれば、在留資格関連の手続きや契約書の整備などもスムーズに行えます。社内負担を減らしつつ、制度に則った適切な運用が可能となるため、結果的にトラブル回避や定着率の向上にもつながります。
 

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