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2025.12.10
特定技能制度
2025.12.10

【特定技能の誤解解消】「資格外活動許可 申請書」は原則不要!転職時の収入途絶リスクと企業・本人の法的対策

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「特定技能外国人は、転職中にアルバイトができるの?」「資格外活動許可 申請書が必要?」そんな疑問をお持ちではありませんか? 特定技能の在留資格を持つ外国人は、留学や家族滞在とは異なり、原則として資格外活動許可の対象外です。つまり、指定された雇用契約以外の活動は認められません。
 
本記事では、この誤解を解消しつつ、特定技能外国人が転職・離職時に直面する最大の不安である「収入途絶リスク」に焦点を当てます。企業と外国人双方が知るべき法的対策、そして「資格外活動許可」の代わりに必須となる「在留資格変更許可申請」の正確な手続きを、出入国在留管理庁の公式情報を基に徹底解説します。
 

目次

  1. 特定技能外国人は「資格外活動許可 申請書」が原則不要な理由
    • 特定技能外国人が資格外活動の対象外となる法的根拠
    • 他の在留資格との比較で見る特定技能の特殊性
  2. 特定技能外国人の転職・離職で本当に必要な手続き:在留資格変更許可申請
    • 「資格外活動許可 申請書」の代わりに必須となる「在留資格変更許可申請」の全体像
    • 申請取次制度と専門家(弁護士・行政書士)活用のメリット
  3. 特定技能の転職期間に潜む最大のリスク「収入途絶」とその対策
    • 転職期間中の「収入途絶リスク」の構造
    • 外国人本人が準備すべきこと
    • 企業が講じるべき収入途絶リスク回避策
  4. 特定技能外国人の採用・定着のために企業がすべきこと特定技能外国人の採用・定着のために企業がすべきこと
    • 旧受入れ企業が負う法的報告義務
    • 新受入れ企業が果たすべき義務と支援体制
    • 企業側の「準備不足」が招くトラブルとSTAYWORKERの役割
  5. まとめ:特定技能の採用は「資格外活動許可 申請書」ではなく「適切な手続きと支援」が鍵
 

特定技能外国人は「資格外活動許可 申請書」が原則不要な理由

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特定技能外国人が資格外活動の対象外となる法的根拠

 
「資格外活動許可」とは、現在持っている在留資格で認められている活動以外の収入を伴う活動を行う場合に、別途許可を得る制度のことです。しかし、特定技能の在留資格を持つ外国人は、この資格外活動許可を原則として申請できません。
 
その法的根拠は、出入国管理及び難民認定法第19条第2項にあります。この法律では、資格外活動許可の対象が「特定技能」及び「技能実習」を除く活動と明確に定められています 。特定技能(1号・2号)は、日本の特定産業分野の人手不足を補う制度であり、指定された雇用契約に基づく主たる活動に厳しく限定されます。そのため、主たる活動を妨げるアルバイトなどの収入を伴う活動は、在留資格の目的に反し許可されない構造です。
 

他の在留資格との比較で見る特定技能の特殊性

 
特定技能の在留資格が持つ特殊性を理解するため、他の一般的な在留資格と比較してみましょう。留学や家族滞在ビザでは、一定の制限内で資格外活動(アルバイトなど)が認められ、資格外活動許可申請が必要です。しかし、特定技能はこれらと異なり、許可された企業での主たる活動のみが認められ、それ以外の活動は原則許可されません。
 
以下に、在留資格ごとの資格外活動許可の適否と実務上の課題をまとめました。
 
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特定技能外国人の転職・離職で本当に必要な手続き:在留資格変更許可申請

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「資格外活動許可 申請書」の代わりに必須となる「在留資格変更許可申請」の全体像

 
特定技能外国人が職場を変える場合、「資格外活動許可申請」ではなく、「在留資格変更許可申請」が必須の手続きとなります 。
 
特定技能外国人の在留資格は、パスポートに添付される「指定書」によって、勤務する企業名、働く分野、具体的な作業区分が指定されています 。そのため、現在の指定された活動内容から外れる転職を行う際には、新しい雇用契約に基づき、改めて出入国在留管理庁へ在留資格変更許可申請を提出しなければなりません 。
 
申請が許可されると、新しい在留カードと指定書が発行され、初めて新企業での就労が可能になります。標準処理期間は通常2週間から2ヶ月程度が目安です。
 

申請取次制度と専門家(弁護士・行政書士)活用のメリット

在留資格変更許可申請の手続きは専門性が高く、多くの書類準備が必要です。申請人本人、法定代理人のほか、地方出入国在留管理局長に届け出た弁護士や行政書士が申請取次(本人に代わって申請を行うこと)を行うことができます 。
 
専門家を活用することで、書類の不備による審査の遅延を防ぎ、手続きをスムーズに進めることが可能です。特に、企業側が特定技能外国人の採用に不慣れな場合、専門家のサポートは大きなメリットとなります。
 
特定技能の在留資格変更許可申請に必要な書類や手続きについて、さらに詳しい情報はこちらの記事で解説しています。
 

特定技能の転職期間に潜む最大のリスク「収入途絶」とその対策

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転職期間中の「収入途絶リスク」の構造

 
特定技能外国人の転職活動において、実務上最大の障壁となるのが「収入途絶リスク」です 。これは、旧企業を退職した後、新しい企業での在留資格変更許可申請の審査が完了するまでの期間、原則としてアルバイトを含む一切の就労ができないために発生します。
 
この無収入期間は、外国人本人の経済的・心理的負担を大きく増大させます。生活困窮は、非合法な労働への動機やストレスによる失踪・離職といったトラブルに繋がりかねません 。このリスクを理解し、適切な対策を講じることが、外国人材の定着と企業のコンプライアンス維持に不可欠です。
 

外国人本人が準備すべきこと

 
収入途絶リスクを乗り切るためには、外国人本人による事前の準備も非常に重要です。
 
  • 事前の貯蓄:転職期間中の生活費に充てるための貯蓄を計画的に行うことが最も重要です。
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  • 生活費の計画: 転職活動が長期化する可能性も考慮し、数ヶ月分の生活費を想定した資金計画を立てましょう。
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  • 緊急時の連絡先: 困った際に相談できる支援機関や、信頼できる人(支援者、友人など)の連絡先を把握しておくことが大切です。
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    企業が講じるべき収入途絶リスク回避策

     
    受入れ企業は、収入途絶のリスクが外国人材の定着を脅かすことを理解し、積極的に支援策を検討すべきです。
     
  • 迅速な手続きの支援: 在留資格変更許可申請に必要な書類(健康診断個人票、住民税の課税証明書、納税証明書、源泉徴収票など)の準備を全面的にサポートしましょう 。旧受入れ企業と新受入れ企業が密に連携することで、審査期間の長期化を防げます。
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  • 離職日の調整: 外国人本人と協力し、旧企業からの離職日を、在留資格変更許可の取得予定日に極力近づけるよう調整を検討することも有効です。
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  • 生活支援の検討: 申請中の空白期間を乗り切るための貯蓄の重要性を外国人スタッフに伝え、必要に応じて宿泊施設の提供や一時的な生活費支援を検討することで、ストレスによるトラブルや失踪 を未然に防ぐことができます。
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    特定技能外国人の採用・定着のために企業がすべきこと

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    旧受入れ企業が負う法的報告義務

     
    特定技能外国人が離職する際、旧受入れ企業には以下の法的報告義務があります。これらの届出を迅速かつ正確に行うことは、企業のコンプライアンス維持に直結します。
     
  • 特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出: 辞職日確定後、速やかに出入国在留管理庁へ提出 。
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  • 特定技能雇用契約に係る届出: 辞職後14日以内に出入国在留管理庁へ提出 。
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  • 外国人雇用状況の届出: ハローワークへも、離職に伴う届出(雇用保険被保険者資格喪失届など)を提出 。
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    特定技能外国人の離職・退職時に企業がすべき報告義務について、さらに詳しい情報は以下の記事で解説しています。
     

    新受入れ企業が果たすべき義務と支援体制

     
    新しく特定技能外国人を受け入れる企業は、在留資格変更許可申請において、旧企業や外国人本人と協力し、多数の書類作成を支援する義務があります。また、外国人の母国語による月次支援体制の確立は、特定技能の審査要件の一つです 。
     
    在留資格変更許可が下りるまでは、いかなる形であっても外国人を雇用することはできません 。これは、法的な許可なしに就労させることを防ぐ厳格なルールです。
     
    また、雇用保険被保険者の資格取得届(雇入れ時)を行う際、在留資格変更申請中の場合は、届出様式の「備考」欄に「在留資格変更申請中」と記入する必要があります 。
     

    まとめ:特定技能の採用は「資格外活動許可 申請書」ではなく「適切な手続きと支援」が鍵

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    本記事では、特定技能外国人の「資格外活動許可 申請書」に関する誤解を解消し、その代わりに必須となる「在留資格変更許可申請」と、転職期間に潜む「収入途絶リスク」への対策について解説しました。
     
    特定技能外国人の採用・定着には、「収入途絶リスク」への深い理解と、適切な法的・実務的支援が不可欠です。企業側の「準備不足」は、外国人材の不安を増大させ、離職や失踪といったトラブルに繋がる可能性があります。
     
    専門家に相談することで、トラブルを回避することが可能です。また、手続きの効率化にもつながるため、初めて手続きする場合や自信がない場合は、早めに相談することを検討しましょう。
     
    執筆者:STAYWORKER事業部 / 益田 悠平
    監修者情報:外国人採用コンサルタント / 堀込 仁志
    株式会社USEN WORKINGの外国人採用コンサルタント。人材紹介・派遣の法人営業として多くの企業の採用課題に、そして飲食店経営者として現場のリアルに、長年向き合ってきた経験を持つ。採用のプロと経営者、双方の視点から生まれる具体的かつ実践的な提案を信条とし、2022年の入社以来、介護・外食分野を中心に数多くの企業の外国人採用を成功に導く。

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