
「慢性的な人手不足で現場が限界なのに、特定技能の試験やビザ申請にそんなに時間をかけていられない…」「2025年訪問介護解禁も気になるが、うちのような地方の小規模事業所にはハードルが高すぎるのではないか?」――今、多くの介護法人施設長様が、このような深刻な課題と不安を抱えているのではないでしょうか。
本記事では、最新の特定技能「介護」試験の全貌から、試験合格者の日本語力・介護技術のリアル、そして最大の焦点である「訪問介護解禁」に伴う具体的な要件と対応策まで、企業が即戦力となる外国人材を確実に採用し、定着させるための最短ルートを徹底的に解説します。この記事が、企業の漠然とした不安を具体的な希望へと変え、持続可能な介護現場を実現する一助となれば幸いです。
目次
介護現場の「人手不足」は限界へ|特定技能「介護」が最後の切り札となる理由
日本の介護現場は、今、深刻な人手不足という大きな課題に直面しています。この状況は、どこの介護法人施設長様にとっても、喫緊の経営課題であることは言うまでもありません。
■介護業界が直面する2025年問題と外国人材の必要性
厚生労働省の推計(2018年)によれば、2025年には介護職員が約30万人不足するとされており、この数字は年々拡大する見込みです。特に訪問介護の分野では、厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年11月)」によると、日本人採用の有効求人倍率が全国で15.5倍に達するなど、もはや国内人材だけでは現場を維持できない状況が目の前に迫っています。
この人手不足は、もはや待ったなしの危機的状況です。このような状況を打開するための「緊急の補修工事」として、国が「日本の労働力確保」を明確な目的として設計したのが、在留資格「特定技能」制度なのです。
■特定技能「介護」制度の基本と、技能実習との決定的な違い
特定技能1号の在留期間は最長5年で、原則として家族の帯同は認められていません。この制度の最大の特徴は、現場に配属されたその日から、人員配置基準に含めることができる「即戦力」としての活用が期待されている点にあります。
従来の技能実習制度は「国際貢献」を主な目的としていましたが、特定技能制度は「日本の労働力確保」に主眼が置かれています。この目的の違いが、現場での外国人材の活用方法に大きな影響を与えます。
この違いを理解することが、企業にとって最適な外国人材採用戦略を立てる上で非常に重要です。
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大手外食企業は特定技能人材をどう活用しているのか?
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特定技能「介護」試験の全貌|合格者のスキルレベルと信頼性
特定技能「介護」の在留資格を取得するためには、単に介護の知識があるだけでなく、日本の介護現場に適応できる能力を多角的に測る三つの試験(またはその免除要件)をクリアする必要があります。これにより、採用する外国人材のスキルレベルと信頼性が担保されます。
■試験は「介護技能」「介護日本語」「汎用日本語」の三層構造
特定技能「介護」試験は、以下の3つの要素で構成されています。
- 介護技能評価試験: 介護現場での実務知識と技術を測ります。
- 介護日本語評価試験: 介護現場特有の語彙やコミュニケーション能力を測ります。
- 日本語能力試験(JLPT)または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic): 日常生活に必要な日本語の基礎力を測ります。
この三層構造により、実践的な介護能力と円滑なコミュニケーション能力の両方が評価されます。
■介護技能評価試験:現場で活きる実践スキルを測る
介護技能評価試験は、介護職として働く上で最低限必要なスキルセットを確認するものです。試験時間は60分、全45問で構成され、学科試験40問と実技試験5問が出題されます。
出題範囲は、厚生労働省が監修した学習用テキストに基づき、「介護の基本」「こころとからだのしくみ」「コミュニケーション技術」「生活支援技術」の4つの領域から幅広く問われます。実技試験では、イラストや図解を用いて、具体的な介助手順や安全確認の判断力が試されます。
これは、まるで実践力を問う試験であり、合格者は現場で即戦力として活躍できる基礎力を持っていると判断できます。
■介護日本語評価試験:安全なコミュニケーションを担保する言葉の力
介護分野の特定技能に特有なのが、この「介護日本語評価試験」です。対人サービスである介護現場では、言葉の誤解が事故(誤嚥、転倒など)に直結するリスクがあるため、安全なコミュニケーション能力が不可欠とされています。
30分間で15問という短時間の試験ですが、その内容は極めて実践的です。
- 介護のことば: 「体位変換」「誤嚥」「ADL」といった専門用語の理解
- 介護の会話・声かけ: 利用者の不安を取り除くための適切な声かけ
- 介護の文書: 介護記録や申し送り書を正しく読み取る能力
専門用語の理解に加え、文脈の中で正しく使いこなす応用力が問われるため、合格者は現場での円滑な情報共有と安全確保に貢献できる日本語力を持っていると言えるでしょう。
■日本語能力試験(JLPT/JFT-Basic):日常生活の基盤となる言語力
特定技能「介護」の資格取得には、日本語能力試験(JLPT)のN4レベル以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のA2レベル以上が求められます。これは、日常生活や基本的な業務指示を理解し、コミュニケーションが取れる基盤となる言語力を測るものです。
N4レベルは、簡単な会話や文章が理解できるレベルとされており、現場での生活や業務の立ち上がりに必要な最低限の日本語力を保証します。
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■合格率の推移と国籍別・地域別の傾向分析
2019年の制度開始以降、特定技能「介護」試験の全体合格率は約70%前後で推移しています(2025年7月現在)。この数字は、適切な対策を行えば十分に合格可能である一方、無対策では難しいという厳格さを示しています。
また、受験地や国籍によって合格率に差異が見られる傾向があります。例えば、日本国内での受験者は語学力が安定している傾向があり、海外からの新規導入を検討する場合は、国籍によっては手厚い試験対策サポートが不可欠となるでしょう。
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【2025年4月施行】訪問介護解禁!企業で外国人材を受け入れるための具体策
2025年4月、特定技能「介護」において訪問系サービスへの従事が解禁されました。これは、これまで施設介護に限定されていた外国人材が、利用者のご自宅でケアを行うことが可能になったという、介護業界にとって歴史的な転換点です。しかし、訪問介護は施設勤務よりも高度な自律性と判断力が求められるため、厳格な追加条件が設けられています。
■訪問介護に従事するための「外国人材側の要件」
特定技能外国人が訪問介護に従事するためには、以下の要件をクリアする必要があります。
- 実務経験1年以上: 日本国内の介護施設における、1年以上の継続的な実務経験が必須です。
- 日本語能力試験N2相当以上: 実務経験が1年未満の場合、この語学力が従事の条件となります。これは、緊急時に外国人材が一人で事業所や医療機関へ通報・連絡できる能力を想定しているためです。
- 介護職員初任者研修の修了: 訪問介護員としての資格要件(初任者研修または実務者研修)を満たしている必要があります。
これらの要件は、訪問介護という特性上、単独で判断し行動できる能力を重視していることを示しています。
■企業が整えるべき「事業所側の環境整備と安全管理」
訪問介護で特定技能外国人を受け入れる事業所には、以下の体制整備が義務付けられています。
- ICT環境の整備: 不測の事態に対応できるよう、スマートフォンやタブレットを貸与し、管理者とテレビ電話などで即座に連絡が取れる体制を構築します。
- 同行訪問(OJT)の実施: 管理者等が同行し、外国人が単独でケアを提供できる能力があるかを評価します。目安として、週1回の訪問なら半年、週3回以上なら2ヶ月程度の期間が推奨されます。
- ハラスメント対策: 利用者やご家族からの不当な言動から外国人を守るため、相談窓口の設置と、利用者側への事前の説明・同意取得を徹底します。
- キャリアアップ計画: 特定技能協議会に対し、外国人材と共同で作成したキャリアアップ計画書を提出し、毎年の評価を実施します。
訪問介護は、外国人材にとって単独での業務が多いため、企業は、その業務を安全に進めるための「安全網」を提供する役割を担うことになります。
■訪問介護で必須となるICTツールの具体例と推奨サービス
厚生労働省は、訪問介護におけるICT活用を強く推奨しています。これにより、外国人材が単独で訪問する際の不安を軽減し、安全性を高めることができます。
具体的には、以下のようなICTツールが有効です。
- 多言語翻訳アプリ: 緊急時や複雑な状況でのコミュニケーションをサポートします。
- 緊急時連絡用コミュニケーションツール: 管理者や他の職員と即座に連絡が取れるようにします。
- 介護記録システム: 訪問先で記録を共有し、情報伝達をスムーズにします。
■「無理」と諦めていた地方の訪問介護事業所でも成功できるワケ
「ICT導入もOJTも、うちのような地方の小規模事業所には無理だ」――そう諦めていらっしゃる施設長様も多いのではないでしょうか。しかし、ご安心ください。登録支援機関の支援があれば、小規模事業所でも訪問介護での外国人材受け入れは十分に可能です。
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試験スケジュールと「落とし穴」回避術
特定技能試験の予約は世界規模で実施されており、戦略的なスケジューリングと、思わぬ「落とし穴」への対策が不可欠です。貴重な時間を無駄にしないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
■2025年度・2026年度の最新試験日程と予約実務
特定技能試験は、プロメトリック社が管理する予約システムを通じて行われます。希望日の59日前からアクセス可能となるため、計画的な準備が必要です。
2025年7月現在、2025年4月から2026年3月までの試験日程は以下の通り決定しています。
日本およびベトナム以外の主要国:
- 予約受付:2025年4月16日 〜 2026年3月5日
- 試験実施:2025年4月21日 〜 2026年3月10日
ベトナム:
- 予約受付:2025年5月1日開始
- 試験実施:2025年5月8日 〜 2026年3月10日
■験予約・受験で陥りやすい「3つの罠」と回避策
「手続きの煩雑さで、万が一失敗したらどうしよう…」というご不安は当然ですよね。多くの企業が陥りやすい「罠」と、その回避策をご紹介します。これはまるで、重要な商談前の最終確認のようなものです。些細な不備が、大きなトラブルにつながる可能性があります。
- プロメトリックIDの氏名相違: 本人確認書類(パスポート)のアルファベット表記と、ID登録時の氏名が1文字でも異なれば受験できません。IDの重複作成も厳禁です。
- 不合格後の「45日待機」: 試験に落ちた場合、翌日から45日間は再受験ができません。このルールを無視して他国で受験しても、合格は無効となります。
- 本人確認書類の原本: スマートフォンの画面提示やコピーは一切認められません。必ず有効期限内の写真付き身分証明書の原本を持参させる必要があります。
これらのポイントを事前にしっかりと確認し、候補者にも徹底して周知することが、スムーズな受験への鍵です。
大手外食企業は特定技能人材をどう活用しているのか?
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採用を加速する「試験免除ルート」と長期定着へのキャリアパス
特定技能外国人材の採用を検討する上で、試験免除ルートの活用は、時間とコストを削減し、より確実に即戦力を確保するための有効な手段です。また、採用後のキャリアパスを明確にすることで、長期的な定着にも繋がります。
■技能実習2号からの移行で試験免除!即戦力採用の最短ルート
特定技能の大きな供給源の一つが、技能実習2号を修了した実習生です。彼らは、以下の条件を満たせば、特定技能に必要な全ての試験が免除されます。
- 介護職種の第2号技能実習を「良好に」修了していること
- 監理団体等から「良好な修了」を証明する書類が交付されていること
このルートの最大のメリットは、試験の不確実性を排除できる点です。すでに日本での生活習慣に慣れ、自社あるいは他社の現場で3年間の実務経験を積んでいるため、採用後のミスマッチが極めて少なく、立ち上がりが早いという大きなベネフィットがあります。
[関連記事:
「特定技能」と「技能実習」どちらが店舗に合う?現場目線で比較する採用実務ガイド【2025年版】]
■特定技能2号・介護福祉士国家試験へのキャリアアップ戦略
特定技能1号の在留期間は最長5年ですが、その間にステップアップすることで、日本での長期定着が可能となります。
一つは、特定技能2号への移行です。これは、特定の要件を満たし、より熟練した技能を持つと認められた場合に、在留期間の更新制限がなくなり、家族の帯同も可能となる制度です。
もう一つは、介護福祉士国家試験に合格し、在留資格を「介護」へ変更するルートです。これにより、永続的な在留が可能となり、外国人材が日本の介護現場で長期的に活躍する道が開かれます。
しかし、公益財団法人社会福祉振興・試験センターの発表(2024年3月)によると、2024年(第37回)介護福祉士国家試験の結果では、全体合格率が78.3%であったのに対し、特定技能1号の受験者の合格率は33.3%に留まっています。これは、特定技能の試験が「実務への入り口」であるのに対し、国家試験は「高度な専門理論と日本語読解力」を要求するためです。
企業が外国人材を「労働力」としてだけでなく、将来の「リーダー候補」として育成し、長期定着を目指すのであれば、国家試験対策に向けた学習支援(模擬試験の受講や学習時間の確保など)を行うことが、中長期的な人材戦略として極めて有効です。
「特定技能」という言葉は聞くけどよくわからないと感じている方、特定技能外国人の採用を検討中の方向けに日本における在留資格から特定技能制度、登録支援機関まで外国人採用における基礎資料を無料配布しております。ぜひお気軽に下記ボタンからお問合せください。
まとめ:特定技能「介護」試験を理解し、持続可能な介護経営を実現するために
特定技能「介護」の試験は、日本の介護の質を担保し、持続可能な現場を実現するための重要な第一歩です。合格率が約70%という事実は、決して「簡単」であることを意味するのではなく、それだけの学習と意欲を持った人材が世界中に存在することを意味しています。
特に2025年の訪問介護解禁は、介護業界の地図を塗り替える大きな変革となるでしょう。この変革の波に乗るためには、単に「試験に通った人を雇う」という受動的な姿勢ではなく、試験で担保された「基礎能力」を、介護の現場でどう「専門能力」へと昇華させるかという、明確なビジョンと戦略が必要です。
特定技能という制度を正しく理解し、試験という最初のハードルを越えた先には、多様性に富み、かつ強固な、持続可能な介護の未来が待っています。
外国人材ってすぐ辞めてしまうのではないか、、?特定技能の採用をしたが上手くいっていない。
そんな企業様へ、定着に向けた4つのポイントを解説しています。日本の企業を退職したことがある特定技能人材の方へ直接行ったリアルインタビューも掲載しています。
ぜひ下記ボタンからご覧ください。
執筆者:STAYWORKER事業部 / 益田 悠平