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2026.02.26
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2026.02.26

外国人材が長く定着する!外国人社会保険の正しい運用と改正への戦略的対応

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「外国人材の社会保険は複雑で、法改正のたびに不安が募る…」「もし手続きにミスがあったら、ビザ不許可や事業停止に繋がるのでは?」
2025年から2026年にかけて、脱退一時金のルール変更や特定在留カードの導入など、外国人雇用を取り巻く社会保険制度は大きく変わります。
本記事では、外国人社会保険の基本から、これらの最新法改正の内容、そしてコンプライアンスを徹底しつつ外国人材の定着を促すための具体的な戦略まで分かりやすく解説します。この情報を活用し、変化を「脅威」ではなく「機会」に変え、企業の持続的な成長を実現しましょう。
 

目次

  1. 外国人社会保険制度の基本と日本人との違い
    • 国籍不問の原則と歴史的背景
    • 各種社会保険(労災・雇用・健康・厚生年金・介護)の適用条件と外国人特有の例外
    • 2024年10月「社会保険適用拡大(51人基準)」の影響
  2. 2025-2026年:外国人材雇用を取り巻く制度改正の全貌
    • 脱退一時金制度の重大な改正(2026年4月施行予定)
    • 特定在留カード導入による「デジタル・コンプライアンス」革命(2026年6月14日運用開始)
    • 育成就労制度への橋渡しと社会保険の要件(2027年4月施行予定)
  3. 外国人社会保険におけるリスクマネジメントと実務的解決策
    • 未加入・不適切な運用が招く重大なリスク
    • 外国人労働者の不満を解消し定着を促すコミュニケーション戦略
    • 特定技能外国人に推奨される任意保険の活用
  4. まとめ:外国人社会保険を「攻めの経営戦略」へ

外国人社会保険制度の基本と日本人との違い

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国籍不問の原則と歴史的背景


日本の社会保険制度は、「属地主義」という考え方を採用しています。これは、日本国内で働くすべての労働者に対し、国籍を問わず平等に社会保険の加入を義務付ける原則です。外国人労働者であっても、日本人と同じ条件を満たせば、社会保険への加入が法的に義務付けられます。
 
1990年代以降の国際化や、近年深刻化する人手不足に対応するための「特定技能」制度の創設などを経て、外国人労働者の社会保険運用はより厳格になっています。企業が外国人労働者を雇用する際、社会保険への加入は「経営の選択肢」ではなく、事業を継続するための「絶対的な法的義務」であることを理解しておく必要があります。
 

各種社会保険(労災・雇用・健康・厚生年金・介護)の適用条件と外国人特有の例外

外国人労働者に適用される主な社会保険は、以下の5つです。
 
  • 労災保険(労働者災害補償保険):業務上の負傷や疾病を補償します。
  • 雇用保険:失業時の生活保障や再就職支援、育児休業給付などを行います。
  • 健康保険:医療費の自己負担を軽減し、病気や怪我に備えます。
  • 厚生年金保険:老後や障害、死亡時の年金を支給します。
  • 介護保険:40歳から64歳までの健康保険加入者が対象で、介護サービス費用を給付します。
これらの保険は、原則として加入要件を満たす限り強制的に適用されます。しかし、外国人の在留資格や活動内容によっては、以下のような例外や留意点があります。
 
  • 労災保険:一人でも雇用すれば全労働者に適用されます。不法就労者であっても業務上の事故であれば適用される点が特徴です。
  • 雇用保険:週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合に加入義務が生じます。ただし、留学(昼間学生)やワーキングホリデーの外国人は、原則として適用除外です。
  • 健康保険・厚生年金:正社員の4分の3以上の勤務、または短時間労働者の5要件を満たす場合に加入します。社会保障協定を締結している国の出身者は、二重加入が免除される場合があります。
  • 介護保険:40歳から64歳までの健康保険加入者が対象です。入国時に既に40歳を超えている場合、入国日から徴収対象となります。

2024年10月「社会保険適用拡大(51人基準)」の影響

2024年10月、短時間労働者(パート・アルバイト)に対する健康保険・厚生年金保険の適用範囲が、従業員数「101人以上」の企業から「51人以上」の企業へと拡大されました。この「51人基準」は、外国人労働者を多く雇用する中小規模の企業、特に外食チェーンや食品加工工場において、経営コストと人事戦略に大きな影響を与えています。
 
適用拡大における「5つの要件」は以下の通りです。
 
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この改正により、これまで「103万円の壁」を意識して就労時間を調整していた外国人労働者が、本人の意思に関わらず社会保険への加入を余儀なくされるケースが増加しました。企業側にとって、社会保険料は労使折半であり、例えば月給10万円の労働者を雇用する場合、月額約1.5万円程度の法定福利費の増加を意味します。
 
しかし、これを単なるコスト増と捉えるのは早計です。社会保険への加入は、外国人労働者にとって日本の高度な医療サービスを安価に享受できる権利であり、病気や怪我による急な離職リスクを軽減する「経営の安定化装置」として機能する側面も持ち合わせています。
 
 

2025-2026年:外国人材雇用を取り巻く制度改正の全貌

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脱退一時金制度の重大な改正(2026年4月施行予定)

外国人労働者が日本の社会保険料を支払う際に抱く「母国に帰ったときに支払った保険料が無駄にならないか」という懸念に対し、政府は「脱退一時金」制度を設けています。しかし、この制度は2026年4月(予定)に以下の重大な改正が施行されます。
 
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この改正は、外国人労働者にとって「一度帰国して現金を手に入れる」という短期的なインセンティブを削ぐ一方で、日本での長期的なキャリア形成(特定技能2号への移行など)を強く促すメッセージとなっています。企業側は、この改正内容を正確に労働者に伝える必要があります。特に、2026年4月以降に再入国許可を取得して一時帰国する場合、従来のように「お小遣い代わりに一時金を請求する」ことができなくなる点は、労働者の生活設計に大きな影響を与えるため、事前の説明不足は深刻なトラブルの火種となりかねません。
 

特定在留カード導入による「デジタル・コンプライアンス」革命(2026年6月14日運用開始)

2026年6月14日、日本の外国人管理制度は歴史上最大のデジタルシフトを迎えます。在留カードとマイナンバーカードが一体化した「特定在留カード」の運用が開始されるのです。これは単なるカードの集約ではなく、行政が保有する「在留情報」と「税・社会保険情報」が完全に接続されることを意味します。
 
特定在留カードの導入により、これまで住所変更時に必要だった入管局と市区町村役場への二重の手続きが、入管局での手続きのみで完了するなど、ワンストップ化が進みます。しかし、企業側には、雇用時にこの新様式のカードを確認し、マイナンバーの収集と保管に関する法的ルール(番号法)に基づいた、より慎重な取り扱いが求められます。
 
さらに2027年3月以降、「公共サービスメッシュ」の活用により、入管庁が外部機関から直接、健康保険料や年金の納付状況をリアルタイムで取得できるようになります。これにより、ビザ更新申請時にその時点の納税証明書を確認するだけでなく、「過去数年間にわたる毎月の納付実態」が厳格に把握されるようになるでしょう。
外国人本人が国民健康保険料を滞納している場合、その指導を怠ったとして受入企業の「適正な支援能力」が疑われ、新規の在留資格認定が降りなくなるリスクも生じます。これは、企業にとって「自社の厚生年金だけを払っていれば良い」という時代が終わり、外国人労働者の「日本での生活全般におけるコンプライアンス」をサポートする責任が生じることを示唆しています。
 

育成就労制度への橋渡しと社会保険の要件(2027年4月施行予定)

2027年4月には、現在の技能実習制度に代わり「育成就労制度」が施行される予定です。この新制度は「人材育成」と「人材確保」の両立を柱としており、社会保険の適正運用は受入企業の前提条件としてさらに強化されます。
 
新制度では、受入企業に対して以下の要件が課される見込みです。
 
  • 安定した経営基盤: 社会保険料の滞納がないことは、経営の健全性を証明する最低限の証拠となります。
  • 日本人と同等以上の待遇: 社会保険の適用において、日本人労働者と比較して一切の不利益がないことが求められます。
2026年以降、一定の条件で転籍(転職)が認められるようになる中、「社会保険が適正に完備され、福利厚生が充実している企業」が外国人材に「選ばれる」時代となるでしょう。企業は、2025年からの「報告事務の電子化」、2026年の「特定在留カード導入と脱退一時金改正」、そして2027年の「育成就労施行」という一連のタイムラインを、単なる法改正ではなく、一つの連続した「外国人材戦略」として捉え、準備を進める必要があります。
 
 

外国人社会保険におけるリスクマネジメントと実務的解決策

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未加入・不適切な運用が招く重大なリスク

社会保険制度の適正な運用を怠った場合、企業が被るリスクは金銭的な追徴だけにとどまりません。企業のブランドイメージの失墜、採用競争力の低下、さらには事業継続そのものの危機へと波及する可能性があります。
 
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社会保険の加入義務があるにも関わらず未加入のまま放置し、年金事務所の調査などで指摘を受けた場合、最大2年間の保険料が遡及して徴収されます。企業は本人負担分も立て替える必要があり、退職済みの場合は回収不能な損失となることもあります。また、不法就労助長罪に問われた場合、500万円以下の罰金が課される可能性もあります。
 

外国人労働者の不満を解消し定着を促すコミュニケーション戦略

現場で最も多いトラブルの一つが、社会保険料の天引きに対する外国人労働者の不満です。これを防ぐためには、「入社前」の丁寧なガイダンスが不可欠です。
 
  • 可視化された賃金シミュレーションの提示: 総支給額から社会保険料が差し引かれた「手取り額」を、母国語で事前に提示することが重要です。これにより、入社後の金銭的なギャップをなくし、納得感を高めます。
  • 社会保険のベネフィット(メリット)の徹底解説: 日本の高度な医療サービスを3割負担で受けられる価値、高額療養費制度、そして脱退一時金の仕組みを、図解などを用いて分かりやすく説明しましょう。
  • 「日本での信用」への寄与: 社会保険の納付実態が、将来の永住許可申請や、母国からの家族の呼び寄せに不可欠な条件であることを理解させることで、長期的な視点でのメリットを伝えます。

特定技能外国人に推奨される任意保険の活用

特定技能外国人を雇用する企業には、社会保険への加入が「適正な支援計画」の一部として求められます。これに加え、「特定技能外国人総合保険(JITCO保険)」などの任意保険への加入も強く推奨されています。
 
この任意保険は、公的医療保険の自己負担額(3割)や、プライベートでの賠償責任(自転車事故など)、あるいは死亡時の救援者費用(家族の往復運賃)などをカバーするものです。月額1,000円前後の比較的少額なコストで、外国人労働者の心理的な安心感を劇的に高め、結果として定着率向上に繋がる効果が期待できます。
 
 

まとめ:外国人社会保険を「攻めの経営戦略」へ

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外国人労働者の社会保険管理は、もはや単なるバックオフィスの事務作業ではありません。深刻な人手不足という時代において、持続的な経営を支えるための「攻めの経営戦略」そのものです。
 
2025年から2026年にかけての急激な制度変化は、準備を怠る企業にとっては「脅威」となりますが、先手を打つ企業にとっては「機会」となります。企業が今すぐ取り組むべきアクションは以下の3点に集約されます。
 
  1. デジタル・コンプライアンス体制への即時移行:2026年の特定在留カード導入と2027年のデータ連携開始により、情報の隠蔽は不可能になります。自社の管理体制が「いつ調査が入っても問題ない」レベルにあるかを総点検し、マイナンバー管理を含む最新の法的基準に適合させる必要があります。
  2. 外国人労働者のライフサイクルに合わせた教育の実施:入社時の加入手続きから、特定技能への移行、そして帰国時の脱退一時金(2026年改正版)まで、労働者が「自分の将来」を見通せるだけの情報提供を行うべきです。これが結果として、2026年から始まる「転職自由化」の時代における、最強の離職防止策となります。
  3. 専門的パートナーシップの構築: 外国人雇用に関する制度改正のスピードと複雑さは、一企業が自社のみで完璧に対応できる限界を超えつつあります。STAYWORKERのような、行政書士法人や社会保険労務士と連携し、かつ実務的な「生活支援」や「入管報告」のノウハウを持つ外部パートナーを活用することが、不必要な法的リスクを回避し、本業に集中するための最短ルートです。
日本の労働市場は、外国人材を「安価な労働力」として消費する段階を終え、共に価値を創造する「ビジネスパートナー」として迎える段階へと突入しました。その信頼関係の礎となるのが、社会保険という「安心のインフラ」の提供です。2025-2026年の変革期を乗り越え、多文化共生社会における勝者となるための歩みを、今こそ開始すべきです。
 
外国人雇用の社会保険対応について、さらに詳しい情報が必要な方、または具体的な課題をお持ちの企業様は、ぜひSTAYWORKERにご相談ください。
 
 
執筆者:STAYWORKER事業部 / 益田 悠平
監修者情報:外国人採用コンサルタント / 堀込 仁志
株式会社USEN WORKINGの外国人採用コンサルタント。人材紹介・派遣の法人営業として多くの企業の採用課題に、そして飲食店経営者として現場のリアルに、長年向き合ってきた経験を持つ。採用のプロと経営者、双方の視点から生まれる具体的かつ実践的な提案を信条とし、2022年の入社以来、介護・外食分野を中心に数多くの企業の外国人採用を成功に導く。


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