
2025年12月の健康保険証廃止、そして2026年6月の特定在留カード導入。外国人雇用企業の皆様にとって、マイナンバー制度の変革は「また面倒な変更が…」という大きな負担と不安をもたらしているかもしれません。本記事では、マイナンバーカードと外国人雇用に関する最新の法改正スケジュールと、企業が今すぐ着手すべき具体的なアクションプランを詳述します。この記事を読めば、「何から手をつければ良いか分からない」という状態から、「明確なチェックリストに基づき、自信を持って対応できる」状態へと変わるでしょう。
目次
外国人雇用とマイナンバーカード:2025年・2026年の重要変更点
■マイナンバー制度の基礎知識と外国人への適用
マイナンバー(個人番号)は、日本に住民票を持つ全ての方に付与される12桁の番号です。これは日本人だけでなく、3ヶ月以上の中長期在留者を含む外国人の方にも適用され、その法的性質は日本人と何ら変わりません。企業が外国人従業員からマイナンバーを収集する主な法的根拠は、税務(源泉徴収票の作成など)と社会保険(雇用保険や健康保険の加入手続きなど)の事務を適切に遂行するためです。
マイナンバーが付与される対象者と、企業側の義務は以下の通りです。
企業担当者が特に注意すべき点は、マイナンバーを持っていない外国人は、そもそも適法な就労が可能な中長期在留者ではない可能性が高いという点です。採用面接時に在留カードだけでなく、マイナンバーの有無を確認することは、不法就労助長罪のリスクを回避するための有効なセーフティネットとなります。
■【2025年12月】健康保険証廃止とマイナ保険証移行への対応
2025年12月2日、従来の健康保険証は廃止され、マイナ保険証への完全移行が完了しました。これは外国人従業員の皆様にとっても大きな変化であり、混乱を招く要因となり得るため、企業として適切な対応が求められます。
マイナンバーカードを取得していない、あるいは取得していても保険証としての利用登録をしていない外国人従業員には、特例措置として「資格確認書」が交付されます。しかし、政府はマイナ保険証の利用を標準と位置づけており、企業としても以下のメリットを考慮し、取得を促すことを検討すべきです。
- 事務の効率化:医療機関での保険資格確認が即時に行われるため、企業への保険資格に関する問い合わせが減少します。
- 高額療養費手続きの簡素化:本人の同意があれば、限度額適用認定証がなくても医療機関の窓口での支払いが自己負担限度額までとなるため、従業員の負担が軽減されます。
雇用主が直面する課題の一つに「なぜカードを作らなければならないのか」という外国人従業員の不信感や、「多言語案内の壁」があります。単なる手続きの説明に留まらず、「日本の医療制度におけるカードの役割」を母国語で丁寧に解説することの重要性を推奨しています。従業員が抱く「個人情報が流出するのではないか」といった漠然とした不安に対し、日本のセキュリティ基準を自国語で説明することは、従業員の企業への信頼感に直結します。
【アクションプラン】
企業が今すぐ着手すべきこととして、まずは自社の外国人従業員のマイナンバーカード取得率と保険証利用登録状況を社内調査することをおすすめします。その上で、未取得者・未登録者への取得促進と、制度変更に関する丁寧な周知活動を計画的に進めましょう。
■【2026年6月】特定在留カード導入による管理の未来
2026年6月14日には、在留カードとマイナンバーカードの機能を一体化させた「特定在留カード」の運用が開始されます。これは、長年にわたり事務担当者の皆様を悩ませてきた「二重管理」からの解放を意味する画期的な変更です。
一体化による「ワンストップ化」のメカニズム
これまで、外国人が在留期間を更新した場合、まず出入国在留管理庁(入管)で手続きを行い、その後、市区町村の窓口へ出向いてマイナンバーカードの有効期限も別途更新する必要がありました。この二重の手続きは、手続きの漏れによるマイナンバーカードの失効や、再発行に手数料と多大な時間がかかるトラブルを頻発させていました。特定在留カードの導入により、入管での在留期間更新と同時にマイナンバーカードの機能も更新されるようになり、これらの煩雑な手続きが「ワンストップ化」されます。
新旧カードの比較は以下の通りです。
特定在留カード導入に伴う新たなリスクと対策
特定在留カードには在留カードとしての常時携帯義務がありますが、その裏面には極めて機密性の高いマイナンバーが印字されています。このため、紛失時の情報漏洩リスクは従来の在留カードよりも飛躍的に高まります。雇用主は、外国人従業員に対して「カードの裏面を他人に見せない」「紛失した場合は直ちに会社とコールセンターに連絡する」といった、より高度な情報リテラシー教育を施す必要があります。
■【2027年以降】マイナンバー活用拡大と在留資格への影響
2026年1月に決定された政府の新方針により、マイナンバーの活用範囲は今後さらに拡大します。特に重要なのは、2027年3月から入管庁がマイナンバーを通じて地方税や保険料の納付状況を直接照合する仕組みが稼働することです。
「税・保険料の未納」が在留資格を奪う時代へ
これまで、一部の外国人従業員が納税や社会保険料の納付を怠っていても、入管がその事実をリアルタイムで把握することは困難でした。しかし今後は、マイナンバーによる情報連携が厳格化され、未納がある場合は在留期間の更新や資格変更が不許可となる運用が強化されます。
企業にとって、特定技能外国人は「教育し、共に働くパートナー」です。彼らが納税義務を知らずに放置し、その結果として在留更新ができず帰国せざるを得なくなる事態は、企業にとって莫大な採用・教育コストの損失となります。
大手外食企業は特定技能人材をどう活用しているのか?
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現場で頻発するマイナンバーカードのトラブルと解決策
マイナンバー管理の現場では、法律の条文通りにはいかない「摩擦」が常に発生しています。実際に寄せられる相談事例から、代表的なトラブルとその解決策をご紹介します。
■氏名表記の不一致による振込エラー
外国人従業員の氏名は、パスポート、在留カード、銀行口座で表記順序や綴りが微妙に異なる場合があります。特に、マイナンバーカードは住民票(在留カード)の表記に基づき「姓→名」の順で作成されることが多い一方、銀行口座が「名→姓」で登録されていると、給与振込エラーの原因となることがあります。
解決策:
入社時の本人確認において、全ての身分証と銀行口座名義の「完全一致」を厳格にチェックすることが重要です。不一致がある場合は、早急に銀行での名義変更を支援し、トラブルを未然に防ぎましょう。
■暗証番号のロックと再設定の負担
日本語能力が十分でない外国人従業員が、マイナンバーカードの暗証番号を3回間違えてロックがかかってしまうケースが頻繁に発生します。一度ロックがかかると、役所の窓口でしか解除できないため、従業員にとっても企業担当者にとっても大きな負担となります。
解決策:
多言語対応の支援スタッフがいれば、役所への同行時にロック解除だけでなく、今後の紛失防止のための管理指導を同時に行うことができます。
■偽造マイナンバーカードによる不法就労リスク
近年、精巧な偽造マイナンバーカードを用いた「なりすまし」や不法就労の事例が増加しており、企業が意図せず不法就労を助長してしまうリスクがあります。
解決策:
視覚的な確認だけでなく、マイナンバーカードのICチップを読み取るアプリを導入し、カードの真正性を確認することが、企業のコンプライアンスを守る唯一の道です。
■その他の実務的疑問への回答(サテライトトピック)
- 帰国が決まった外国人従業員のマイナンバーカードの処理方法:
帰国が決まった外国人従業員のマイナンバーカードは、原則として返納が必要です。返納手続きは、住民票のある市区町村窓口で行います。
- 特定技能の更新時に会社が代行できるマイナンバー手続きの範囲:
マイナンバーカードの申請や更新手続きは、原則として本人が行う必要があります。ただし、一部の書類作成補助や、本人の同意を得た上での同行支援は可能です。
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2025-2026年を見据えた外国人雇用企業のチェックリスト
迫りくる制度変更に対し、企業が今すぐ着手すべき具体的なアクションは以下の3つです。
■今すぐ着手すべき3つのアクション
- アクション1:健康保険証廃止に向けた外国人従業員のマイナンバーカード取得・利用登録状況の社内調査と、未取得者・未登録者への取得促進
未取得者や未登録者に対しては、多言語での説明会開催や個別相談機会の提供を通じて、取得を促す具体的な計画を立て、実行してください。
- アクション2:特定在留カード導入に備え、常時携帯と番号秘匿の矛盾に対応するための情報リテラシー教育計画の策定
2026年6月14日から導入される特定在留カードは、利便性が高まる一方で、紛失時のリスクも増大します。外国人従業員に対し、カードの取り扱いに関するより高度な情報リテラシー教育(例:カードの裏面を他人に見せない、紛失時は直ちに会社と支援機関に連絡することなど)を徹底する計画を策定・実施しましょう。
- アクション3:2027年以降の在留不許可リスク回避に向けた、外国人従業員への納税意識向上と生活指導の強化
2027年3月からは、税金や社会保険料の未納が在留資格の更新・変更に直接影響するようになります。企業は、外国人従業員が日本の納税制度や社会保障制度を正しく理解し、適切に義務を果たすよう、定期的な啓発活動や生活指導を強化する必要があります。これは、従業員の安定した在留を支え、企業の採用・教育コストを守る上で不可欠です。
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まとめ:マイナンバー制度の変革を「好機」に変えるSTAYWORKERの伴走支援
本記事で解説した通り、マイナンバー制度の変革は、外国人雇用企業にとって一時的な事務負担増をもたらす側面がある一方で、中長期的には「外国人管理のDX化」と「適正雇用の透明化」という大きな恩恵をもたらす好機でもあります。
STAYWORKERは、読者である企業担当者の皆様に対し、以下の3つの価値を提示し、この変革期を乗り越えるための強力なパートナーとなります。
- 情報の正確性:最新の法改正スケジュール(2025年12月、2026年6月)に基づく、間違いのない実務指針を提供します。
- 現場の具体性:制度の解説に留まらず、氏名表記の不一致や紛失対応など、現場で「明日起こりうるトラブル」への対処法を伝授します。
- パートナーの信頼性:煩雑な事務とリスク管理を代行し、企業が「人材育成」という本来の業務に集中できる環境を整えるSTAYWORKERの豊富な支援実績があります。
2025年、そして2026年。この歴史的な転換期において、企業が「知らなかった」では済まされない法的リスクを、STAYWORKERは「共に歩む支援」へと変えていきます。私たちは、特定技能外国人雇用の新しいスタンダードを創出する原動力となることをお約束します。
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執筆者:STAYWORKER事業部 / 益田 悠平
監修者情報:外国人採用コンサルタント / 堀込 仁志
株式会社USEN WORKINGの外国人採用コンサルタント。人材紹介・派遣の法人営業として多くの企業の採用課題に、そして飲食店経営者として現場のリアルに、長年向き合ってきた経験を持つ。採用のプロと経営者、双方の視点から生まれる具体的かつ実践的な提案を信条とし、2022年の入社以来、介護・外食分野を中心に数多くの企業の外国人採用を成功に導く。