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2025.10.03
雇用関連
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2025.10.03

技術・人文知識・国際業務ビザ完全ガイド|人事担当者が失敗しない申請の全知識と3つの成功法則

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優秀な外国人材を採用したいのに、技術・人文知識・国際業務ビザの複雑な要件や手続きに頭を抱え、採用活動がストップしていませんか? 本記事を読めば、企業が求める外国人材がビザ要件を満たすか即座に判断でき、不許可リスクを最小限に抑えながら、スムーズかつ確実にビザ取得を成功させるための具体的な道筋が見えてきます。複雑な申請業務から解放され、採用担当者としてのコア業務に集中できる環境を手に入れましょう。
 

目次

  1. 技術・人文知識・国際業務ビザとは?対象職種と要件を自己診断
    • そもそも「技術・人文知識・国際業務ビザ」とは
    • 企業の人材は対象?職種と学歴・経験の早見表
    • 「特定技能ビザ」など他ビザとの違いと選び方
  2. 失敗しないための必須要件ガイド:3つの「壁」を乗り越える
    • 「学歴・実務経験」の壁:大学・専門学校卒、経験年数の詳細
    • 「業務内容と学歴・経験の関連性」の壁:不許可事例から学ぶ判断基準
    • 「日本人と同等額以上の報酬」の壁:具体的な給与水準と設定のポイント
  3. 複雑な申請手続きをシンプルに:フローと必要書類チェックリスト
    • 申請フロー全体像:海外・留学生・転職パターンを徹底図解
    • 申請タイプ別・企業向け必要書類チェックリスト(ダウンロード可)
    • 書類不備を防ぐ!入管が重視する「理由書」作成のコツ
  4. 審査期間と最短取得のための戦略
    • 最新の審査処理期間データと時期による変動傾向
    • 審査をスムーズに進める3つの秘訣と長期化を避ける対策
    • 不許可事例から学ぶ!不許可を回避するための最終チェック
  5. よくある質問とSTAYWORKERが提供する解決策
    • 人事担当者が抱える「よくある質問」Q&A
  6. まとめ:確実な外国人材採用のために今すぐできること
 

技術・人文知識・国際業務ビザとは?対象職種と要件を自己診断

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そもそも「技術・人文知識・国際業務ビザ」とは

「技術・人文知識・国際業務ビザ」とは、専門的な知識やスキルを持つ外国人が、日本国内の企業で働くための在留資格です。
このビザは、外国人が日本で専門的な知識やスキルを活かして働くための「プロフェッショナルパスポート」のようなものだと考えると分かりやすいでしょう。
 
法務省の定義によると、このビザは以下の3つの分野に大別されます。最新のガイドラインに基づき、各分野の代表的な職種例を以下に示します
 
  • 技術分野: 自然科学系の知識(理学、工学など)を必要とする業務。
    • 代表的な職種例: ITエンジニア、プログラマー、機械設計、電子工学研究者など。
  • 人文知識分野: 人文科学系の知識(法律、経済、社会学など)を必要とする業務。
    • 代表的な職種例: 経理、マーケティング、営業、人事、コンサルタント、広報など。
  • 国際業務分野: 外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務。
    • 代表的な職種例: 翻訳・通訳、語学教師、デザイナー、海外取引業務、広報・宣伝など。
これらの分野に該当する業務であれば、多くの専門職で外国人材の雇用が可能です。より詳細な情報や最新の定義については、法務省の公式ウェブサイトをご確認ください
 

企業の人材は対象?職種と学歴・経験の早見表

企業が採用を検討している外国人材が、このビザの対象となるか、まずは以下の早見表で大まかに確認してみましょう。この表でご自身のケースに当てはまるかチェックし、詳細は次の章で詳しく解説しますのでご安心ください。
 
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「特定技能ビザ」など他ビザとの違いと選び方

外国人材を雇用する際には、「技術・人文知識・国際業務ビザ」以外にも、「特定技能ビザ」や「企業内転勤ビザ」といった選択肢があります。企業の採用ニーズに最適なビザを選ぶためには、それぞれの違いを理解することが重要です。
特に「技術・人文知識・国際業務ビザ」と「特定技能ビザ」の大きな違いは以下の通りです。
 
  • 専門性:
    • 技術・人文知識・国際業務ビザ: 高度な専門知識やスキルが求められます。
    • 特定技能ビザ: 特定の産業分野における相当程度の知識または経験が求められます。
  • 学歴要件:
    • 技術・人文知識・国際業務ビザ: 原則として大学・専門学校卒業以上の学歴、または一定の実務経験が必要です。
    • 特定技能ビザ: 学歴要件は基本的にありません。
  • 職種範囲:
    • 技術・人文知識・国際業務ビザ: 広範囲の専門職が対象です。
    • 特定技能ビザ: 介護、農業、飲食料品製造業など、現在16分野(2025年7月現在)に限定されます
企業の採用ニーズが「高度な専門職」であれば技術・人文知識・国際業務ビザが、「人手不足が深刻な特定の分野」であれば特定技能ビザが適している可能性が高いでしょう。
 
 

失敗しないための必須要件ガイド:3つの「壁」を乗り越える

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技術・人文知識・国際業務ビザの申請では、特に以下の3つの要件が重要になります。これらは「3つの壁」とも言えるもので、入管(出入国在留管理庁)が厳しく審査するポイントです。
 

「学歴・実務経験」の壁:大学・専門学校卒、経験年数の詳細

このビザを取得するためには、原則として以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
 
  1. 大学卒業: 日本の大学、または海外の大学を卒業していること。この場合、業務に関連する分野を専攻していれば、実務経験は不要という重要な特例があります。
  2. 専門学校卒業: 日本の専門学校を卒業し、「専門士」または「高度専門士」の称号を取得していること。加えて、その専攻分野と関連のある業務に従事することが求められます。この「専門士」または「高度専門士」の称号は、専門的な知識・技術を修得した証として特に重要視されます
  3. 実務経験10年以上: 大学や専門学校を卒業していない場合でも、従事しようとする業務に関連する実務経験が10年以上あること。国際業務分野の場合は3年以上で足りるケースもあります。
多くの企業が見落としがちなのは、「大学卒業者には実務経験が不要」という点です。学歴が明確であれば、経験年数を細かく証明する必要がないため、申請がスムーズに進む可能性が高まります。
 

「業務内容と学歴・経験の関連性」の壁:不許可事例から学ぶ判断基準

学歴や実務経験があっても、「従事する業務内容」と「学歴・実務経験」に十分な関連性がないと判断されると不許可になります。これが最も難しく、入管が厳しく審査するポイントの一つです。
 
具体的な不許可事例から、入管が何を重視しているかを学びましょう。
 
  • 例1: 文学部卒業→プログラマーとして勤務(×)
    • 文学部で学んだ知識とプログラミング業務に直接的な関連性が見出せないため、不許可となる可能性が高いです。
  • 例2: 経済学部卒業→ホテルでのベッドメイキング業務(×)
    • 経済学の専門知識が、ベッドメイキングという単純作業に活かされるとは考えられません。
  • 例3: 専門学校でITを専攻→営業職(△、業務内容による)
    • IT製品の営業であれば、IT知識が活かされると判断される場合もあります。しかし、単に商品の説明をするだけの営業であれば、専門性がないと判断されることもあります。
入管は、提出された書類全体を見て、「なぜこの外国人がこの業務でなければならないのか」「この外国人の専門性が、具体的にどのように企業の業務に貢献するのか」を論理的に説明できるかを重視します。
 

「日本人と同等額以上の報酬」の壁:具体的な給与水準と設定のポイント

外国人材に支払う報酬は、「日本人と同等額以上」でなければなりません。これは、外国人労働者が不当に低い賃金で雇用されることを防ぐための重要な要件です。
 
「日本人と同等額以上」とは具体的に、以下の基準を総合的に判断されます。
 
  • 同職種の日本人社員との比較: 企業内で、同じ職種・業務内容に従事する日本人社員がいる場合、その社員と同等以上の報酬を支払う必要があります。
  • 近隣の同規模企業との比較: 企業の所在地や規模が近い企業で、同職種の日本人社員が受け取っている一般的な報酬水準と比較されます。
  • 地域ごとの最低賃金との比較: 当然ながら、地域ごとの最低賃金を下回ることは許されません。
報酬要件を満たさない場合、不許可となるリスクが非常に高まります。給与設定の際は、これらの点を考慮し、入管に「適正な報酬である」と明確に説明できるように準備することが大切です。地域別・業種別の報酬に関する最新の統計データやガイドラインは、厚生労働省や入管庁のウェブサイトで確認できるほか、専門家への相談を通じて適正な水準を把握することが重要です
 
 

複雑な申請手続きをシンプルに:フローと必要書類チェックリスト

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ビザ申請手続きは複雑に感じられるかもしれませんが、全体の流れを理解し、必要な書類を漏れなく準備すれば、決して難しいものではありません。
 

申請フロー全体像:海外・留学生・転職パターンを徹底図解

技術・人文知識・国際業務ビザの申請には、大きく分けて3つのパターンがあります。それぞれの申請フローを視覚的に見ていきましょう。
 
  1. 海外からの新規雇用(在留資格認定証明書交付申請): 外国人を海外から呼び寄せて雇用する場合。
  2. 留学生からの切り替え(在留資格変更許可申請): 日本に在留中の留学生を卒業後に雇用する場合。
  3. 日本国内での転職(在留期間更新許可申請): すでに技術・人文知識・国際業務ビザで日本に在留している外国人を、企業で雇用する場合(転職)。
それぞれのパターンにおける全体的な流れと、企業が関わる主要なステップを図解で確認してください。
 

申請タイプ別・企業向け必要書類チェックリスト

ビザ申請で最も骨の折れる作業の一つが、必要書類の準備です。書類不備は審査の長期化や不許可に直結するため、細心の注意を払う必要があります。
以下のチェックリストは、申請タイプ別に申請人(外国人)側と会社(企業)側で必要となる書類を網羅的にリストアップしたものです。ぜひ実務でお役立てください。最新かつ詳細なリストは、をご確認いただくか、専門家にご相談ください
 
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書類不備を防ぐ!入管が重視する「理由書」作成のコツ

多くの書類の中でも、「理由書」は入管に申請の正当性を伝える上で極めて重要な書類です。これを身近な「自己紹介文」にたとえるなら、入管に企業と採用人材の魅力を最大限に伝えるための重要な書類と言えるでしょう。
理由書には、以下の要素を盛り込み、論理的かつ具体的に説明することが説得力を高めるコツです。
 
  • 企業の事業内容: どのような事業を行っている企業なのか。
  • 外国人材の必要性: なぜこの外国人を採用する必要があるのか。日本人では代替できない理由など。
  • 業務内容と学歴・経験の関連性: 採用する外国人材の学歴や職務経験が、従事する業務にどのように活かされるのかを具体的に説明。
  • 報酬の妥当性: 報酬額が「日本人と同等額以上」であることを明確に説明。
説得力のある理由書を作成することで、書類不備による審査長期化や、追加資料請求のリスクを大幅に減らすことができます。
 
 

審査期間と最短取得のための戦略

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外国人材の採用計画を立てる上で、ビザの審査期間は非常に重要な要素です。審査期間は時期や申請内容によって変動するため、最新情報を把握し、戦略的に準備を進めることが成功の鍵となります。
 

最新の審査処理期間データと時期による変動傾向

2025年7月現在、入管庁が発表している最新の審査処理期間データは以下の通りです。これらのデータはあくまで平均であり、個別の申請状況や時期によって変動します。最新の公式情報は、出入国在留管理庁のウェブサイトでご確認ください
 
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このデータからも分かるように、審査期間は時期によって変動する傾向があります。特に年度末や年度初め(3月~5月頃)は申請が集中し、審査が長期化しやすい繁忙期となるため注意が必要です。採用計画を立てる際は、これらの傾向を考慮し、余裕を持ったスケジュールを設定することをおすすめします。
 

審査をスムーズに進める3つの秘訣と長期化を避ける対策

審査の長期化を防ぎ、最短でビザを取得するためには、以下の3つの秘訣が重要です。
 
  1. 完璧な書類準備と提出(不備ゼロを目指す):
    • 提出書類は、チェックリストを活用し、漏れや誤りがないか何度も確認しましょう。
      特に、証明書の有効期限切れや、写真の規定不適合などはよくある不備ですので注意が必要です。健康診断書が必要な場合は、指定された医療機関やフォーマットを厳守し、有効期限内に提出できるよう準備しましょう。
    • 追加資料請求への迅速かつ正確な対応:
    • 入管から追加資料の提出を求められた場合、その内容を正確に理解し、速やかに対応することが重要です。不明な点があれば、すぐに専門家に相談しましょう。
  2. 専門家(行政書士)の活用による効率化:
    • 入管業務を専門とする行政書士に依頼することで、書類作成の品質向上、最新情報の把握、入管とのスムーズなやり取りが可能となり、審査期間の短縮に繋がります。
また、最新の要件として、特定の国籍の外国人材に対して結核非発病証明書の提出が義務付けられるケースもあります。このような最新情報を常に把握し、申請に反映させることが、スムーズな審査のために不可欠です。
 

不許可事例から学ぶ!不許可を回避するための最終チェック

不許可になってしまうと、採用計画に大きな遅れが生じ、企業にとって大きな損失となります。過去の不許可事例から学び、同様の過ちを犯さないための最終チェックを行いましょう。
 
  • 単純労働と判断される場合:
    • 例:大学卒業者を雇用し、専門職として申請したが、実際には清掃や運搬などの単純作業が主な業務であると入管に判断された。
    • 対策: 雇用契約書や業務内容説明書で、専門性を要する具体的な業務内容を明確に記載し、実態と乖離がないことを証明しましょう。
  • 学歴と業務内容の関連性が薄い場合:
    • 例:法学部卒業者を雇用し、IT企業のシステム開発職として申請したが、学歴と業務内容の関連性が薄いと判断された。
    • 対策: 理由書で、学んだ知識や経験が貴社の業務にどう活かされるかを具体的に、かつ論理的に説明することが不可欠です。
  • 報酬要件を満たさない場合:
    • 例:同職種の日本人社員の給与と比較して、外国人材の給与が明らかに低いと判断された。
    • 対策: 報酬額の根拠を明確にし、日本人と同等額以上であることを客観的なデータで示せるように準備しましょう。
最終チェックでこれらのポイントを再確認することで、不許可リスクを最小限に抑えることができます。
 
 

よくある質問

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外国人材の雇用やビザ申請に関して、企業の人事担当者様からよくいただく質問とその回答をご紹介します。
 

人事担当者が抱える「よくある質問」Q&A

Q1: フリーランスとして働く外国人材を雇用したいのですが、ビザは取得できますか?
A1: 原則として、技術・人文知識・国際業務ビザは、日本国内の企業との直接雇用契約があることが前提となります。フリーランス(個人事業主)としての活動では、このビザの取得は難しいことが多いです。
 
Q2: 技術・人文知識・国際業務ビザを持つ外国人材は、アルバイトもできますか?
A2: 原則として、許可された活動(主たる業務)以外のアルバイトはできません。もしアルバイトを行う場合は、入管から「資格外活動許可」を得る必要があります。この許可は、主たる業務に支障をきたさない範囲で、かつ週28時間以内などの制限があります。
 
Q3: 役員報酬でも「日本人と同等額以上の報酬」を満たせますか?
A3: 役員報酬も報酬要件の対象となり得ますが、役員としての実態があるかどうかが厳しく審査されます。単に報酬額を高く見せるためだけの役員就任は認められません。役員としての職務内容や責任、他の役員とのバランスなどを具体的に説明できる必要があります。
 
Q4: ビザ更新時の注意点はありますか?
A4: ビザ更新時には、これまでの在留期間中の活動が申請内容と合致しているか、納税義務を履行しているか、在留状況に問題がないかなどが審査されます。特に、転職を伴う更新の場合は、新たな雇用先での業務内容がビザの要件を満たしているか、報酬が適正かなどが再度確認されます。
 
 

まとめ:確実な外国人材採用のために今すぐできること

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本記事では、技術・人文知識・国際業務ビザの基礎知識から、人事担当者が知るべき必須要件、複雑な申請手続きのフロー、最新の審査期間、そして不許可を回避するための戦略までを網羅的に解説しました。
 
優秀な外国人材の採用は、企業の事業を成長させる大きなチャンスです。しかし、ビザ申請のプロセスは専門性が高く、書類不備や要件の理解不足が原因で、採用計画が頓挫してしまうケースも少なくありません。
 
STAYWORKERは、企業の外国人材採用における「信頼のパートナー」として、複雑なビザ申請手続きの負担軽減、不許可リスクの最小化、そして優秀な外国人材の確実な採用に向けて、全面的にサポートいたします。
 
 
執筆者:STAYWORKER事業部 / 益田 悠平
監修者情報:外国人採用コンサルタント / 堀込 仁志
株式会社USEN WORKINGの外国人採用コンサルタント。人材紹介・派遣の法人営業として多くの企業の採用課題に、そして飲食店経営者として現場のリアルに、長年向き合ってきた経験を持つ。採用のプロと経営者、双方の視点から生まれる具体的かつ実践的な提案を信条とし、2022年の入社以来、介護・外食分野を中心に数多くの企業の外国人採用を成功に導く。

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